ジェイド・カーティスという男は食えない男だ。
そして天才だ。
凡人である私は彼の言動に振り回されてばかりである。
「おや?、執務は終わりましたか?」
「ええ、終わりましたとも!アンタが押し付けてくださった執務全部!!」
「それはご苦労様です」
労いの言葉と同時に、綺麗な紅目が細められる。
押し付けた仕事を労うのは押し付けた側の当然の行為であるはずなのだが、
そんな考えなどはいつもこの笑顔によって薄れていってしまう。
一体、何度こんなやり取りをしただろうか。
「・・・・・・私も甘いわね」
「そうですねぇ」
「そうですねぇじゃない。今日こそはちゃんと自分で執務やって」
つーか確信犯ですか。
質悪いな、おい。
「仕方ありませんね。でもまあ・・・・・・」
「・・・・・・何?」
じっと見られる。
というか、見下ろされている。
背の高いジェイドはいつも私を見下ろす。
でも別に嫌いじゃないし、嫌じゃない。
なんせ彼は180cm以上あるのだ、必然的にそうなって当然だ。
だから私が見上げるのも必然であって・・・・・・ん?
よく見ると口に手を当て、何やら考え込んでいるようだった。
・・・・・・嫌な予感がする。
当たらないでくれと切に願う。
「見返りを楽しみにしておきます」
「見返り・・・・・・」
「ええ。期待していますよ?」
当たってしまった。
やはりジェイドお得意のセクハラだ。
この男は・・・・・・。
「執務は当然の行為なのに、何で見返りを要求するのよ?!」
「別に私は前払いでも構わないのですが・・・・・・」
腰に手を回され、抱き寄せられる。
セクハラだっ!
「わかったから!わかりましたから!見返り楽しみにしててもいいから!!」
「残念」
慌てて遠慮というか、ぶんぶんと首を振って拒否すると、
ジェイドが薄っすらと笑って言った。
・・・・・・ちょっと怖い。
「仕方ありませんねぇ」
不意にポンと手を頭に置かれる。
何事だろうか。
「、とりあえず今日は午前中寝ていてください。徹夜は体に悪いですから」
「・・・・・・」
・・・・・・知ってたんだ、徹夜だってこと。
簡単な化粧で隈は誤魔化したつもりだったのに。
「・・・・・・分かったわよ。大人しく寝てる」
やっぱり優しいなぁなんて思う。
普段はアレだけどまあ、なんだかんだ言って気にかけてくれているのかなぁ・・・・・・。
「ありがと」
「いえいえ。夜に備えてしっかり寝ていてください」
ジェイドがニヤリとしながら言った。
・・・・・・前言撤回、やっぱりセクハラだ。
私のご褒美は貴方、貴方のご褒美は私
セクハラな大佐が大好きです。
だが、この大佐は明らかに偽者チックだ(笑)
(2006/02/04)