「・・・・・・あ、これジェイドの著書だ」



譜術についての本を探しているとジェイドの著書を見つけてしまった。

このグランコクマ宮殿の図書室は著者順に並んでいる。

ということは、一冊が見つかる、
するとそのままゴロゴロと同じ著者の本が見つかるワケで・・・・・・。



「え、どんだけあるのよ・・・・・・?」



ジェイドの本は棚四つ分ぐらい揃っていた。

多分、すべて揃っているのだろう。



「・・・・・・きっと陛下が集めたんだろうなぁ」



分からなくもない。

あれほどの研究者が親友にいるのだ、そりゃあ集めるだろう。

ましてや一国の王なのだから、本を集めるだなんてわけないだろう。



「うわー、これってジェイドが書いていたんだ」



士官候補生時代に勉強に使っていた本は確かこれだったはずだ。

まさかこんなところで巡り合うとは・・・・・・。

手にとり、ページをぱらぱらとめくる。

懐かしい。

当時読んだなかで、一番役にたった本だった。

成る程、私はこんなところでジェイドに助けられていたのか。



「・・・・・・ん? これ続きあったんだ」

「ええ、昨年出版されました」

「うわっ!!」



いきなり後ろから声をかけられ、驚いて本を落としてしまう。

ジェイドだ。



「酷いですねぇ、人の本を落とさないで下さいよ」

「あんたがびっくりさせたんでしょうが!!」



急いでしゃがんで本を拾おうとする。

するとなぜか目の前に自分のではない影が見えた。

なんだろう?

立ち上がると原因がわかった。



「大丈夫ですか?」

「いえ、平気です、ていうか手どけて下さいセクハラ大佐」

「んー、残念ながらそれは出来ませんねぇ」

「・・・・・・」



近いっ近いっ近いっ!!!!

ジェイドは本棚に両手を置いていた。

別に何でもないはずだ。

彼がその両腕の間に私を挟んでいなければの話だが。



「おや、、どうしました?」



不意に耳元で囁かれる。

ジェイドの息が耳元を擽り、何とも言えない羞恥心が体中を駆け巡る。

恥ずかしくて体が動かない。

ていうか、端整な顔が至近距離にある。

本当に三十代後半なのだろうか。

ありえなーい、老いとか老けとかないのー?



「黙ってしまいましたねー」

「・・・・・・あうー」



無理矢理関係のないことを考えようとしていたが駄目だった。

声がする度に耳に僅かな息がかかる。

体中の神経が耳にあるんじゃないかとすら思えてきた。

心臓もばくばくどかどかと五月蝿い。(どかどかって何だよ、自分)

何、私変態?



「綺麗な髪ですね。柔らかくて」

「・・・・・・っ!」



髪を触られ、言われる。

手にとった髪に、口付けられる。

・・・・・・気がつくと視界いっぱいに見慣れた青が広がっていて。

私はジェイドの腕の中にいた。



「意外と抵抗しませんでしたね」

「・・・・・・」

「まあいいでしょう」



抵抗しなかったのは貴方が好きだからなんだけど。

それだけはこいつに言わないことにして、胸の中に仕舞っておこう。

だってなんか悔しいし、恥ずかしいからね。

だからもうちょっとだけ、このままで・・・・・・。

なんてことを思った。








今この瞬間が愛おしくて




大佐の本、読みたい。
きっとピオニー陛下が全部集めたんだろうなーとか。
そしてサインを頼んできっぱり断られたことだろう。(妄想ワールド)




(2006/02/05)