「・・・・・・ジェイド?」
執務室を扉を開け、部屋の主の名を呼んでみたが反応がない。
執務室に入りながらパタンと扉を閉め、ジェイドの姿を探したが見つからなかった。
「あれ・・・・・・?」
きっと奥の部屋にでもいるのだろうと思い、今度は奥の部屋の扉をそっと開けた。
「・・・・・・やっぱり」
奥の部屋に入るとソファーに腰掛けるジェイドの後姿が見えた。
本でも読んでいるのだろう。
「ジェイド」
名前を呼びながらジェイドの正面に回りこむ。
執務はどうしたのだと言ってやるつもりだった。
昨日も今日も私に面倒な仕事(陛下の尻拭い)を押し付けてくれたのだ、文句をつけてやりたかった。
しかし、そんな気も無くなってしまった。
「・・・・・・寝てるの?」
ソファーに腰掛けたジェイド・カーティスは眠っていた。
ゆっくりと体全体が上下しており、本当に眠っているのがよくわかった。
規則正しい、彼らしい呼吸も聞こえた。
「・・・・・・」
こうして眠っていると彼の色白さ、顔の造りの美しさがいつも以上にはっきりと浮き彫りになる。
思わず見惚れてしまう。
女である自分よりも綺麗な髪に綺麗な肌。
羨ましい。
素直にそう思った。
「こうしていればいい男なのに」
ぽつりと呟く。
そう、ジェイドは大変よろしい性格をしている。
部下である自分は常に彼のイジメの対象だ。
一体、職権乱用だと何回思ったことだろう。
思い出すと沸々と怒りが湧いてきた。
「イジメ返そうかしら・・・・・・。いや、でも復讐が怖いし・・・・・・」
これでも一応、相手は人生の先輩で上司だ。
それになにより復讐が恐ろしい。
イジメ返すのは止めておくことにした。
こうして突っ立っていたって仕方が無い。
ジェイドに用事があったのだが、寝ていては仕方が無い。
せっかく気持ちよさそうに寝ているようなので、また後で来ることにした。
「・・・・・・」
風邪をひいてはいけないと思ってジェイドに毛布を掛けてやると、視界に彼の眼鏡が入った。
ジェイドは私の前では眼鏡を外さない。
これはとてもおいしいシチュエーションではないだろうか。
今なら、本人の了解を得ずとも見れるかもしれない。(目を開けてはくれないが)
見たことのないジェイドの素顔を見たいという、怖いもの見たさ精神のようなものが湧きあがった。
「レッツ・チャレンジ」
一瞬にして決意は固まり、ジェイドの眼鏡に手を掛ける。
そろりと眼鏡を外すと素顔が見えた。
ぶっちゃけ普段と大して変わらない。
相変わらず美しい顔だった。
「・・・・・・つまんないのー」
くるくると眼鏡を回し、残念に思う。
まあ眼鏡だから、仕方がない。
少しは名残惜しいが、眼鏡を返すことにした。
「・・・・・・?」
眼鏡を返そうと慎重に眼鏡を持ち上げると、眠っていたはずのジェイドが起きていた。
開けられた紅い目とばっちりと目が合い、絶句した。
別に怒られたりイジメられたりするような―――そこまで酷いことはしていないはずだ。
それでも妙な後ろめたさのようなものがあった。
「いけませんねぇ、人の物を勝手に弄っては」
「お、おはようございます」
眼鏡無しの彼はやたらと迫力があった。
なんというか、圧力を感じる。
「どうやら、お仕置きが必要みたいですね」
「え、あ、うっそ、お仕置き?」
「ええ。とびきりのやつを」
言ってジェイドが私の腕を掴み、ソファーに引っ張る。
いきなりのことだったのでバランスを崩し、殆ど抵抗する暇など無かった。
そのままソファーに倒れこみ、ジェイドが馬乗りになった。
「もう、ジェ・・・・・・っ! ・・・・・・っ・・・ぁ・・・・・・!」
『ジェイド!』と怒鳴る前に口を塞がれ、ジェイドの舌が唇を割って入ってくる。
ぬるりとしたその動きに、嫌でも体が反応してしまう。
それを感じ取ったのか、さらに激しく口内を掻きまわされる。
「・・・・・・っはぁっ・・・・・・!」
やっとのことで解放してもらい、ゼイゼイと荒い呼吸を整える。
「そんなに眼鏡を外してほしいのなら、いくらでも外してさし上げますよ?」
もちろんベットでですが。
にっこりと言われ、軽く彼に殺意を抱いた。
好奇心すら災いの元
大佐、もちろん始めから起きています。
完全なる寝たふりです。
ありがちですね、わっはっは!
そして、そろそろ裏に突入しそうな自分がちょっと怖い(笑)
(2006/02/22)