「珍しいわね、お酒飲んでるなんて」

「まぁ、久々ではありますね」



カランとグラスに入った氷が音をたてた。

もう何杯飲んだかなんて覚えていない。



「ちょっと酔ってる?」

「さぁ? わかりませんねぇ」

「貴方がそういう時は大抵酔ってるのよね」



が苦笑いしながら、棚からもう一つのグラスを取り出した。



「私も飲むわ」



そう言いながら私の隣に腰掛け、グラスに氷を入れる。

まだ溶けていない新しい氷が、今度は彼女のグラスの中で音をたてた。



「どうぞ」

「ありがとう」



ボトルから酒をついであげると、は一口飲んだ。

きっと喉に熱が広がったのだろう、少し顔を顰めた。

そんな彼女を見ながら自分も一口飲んだ。



「ルークのことが心配なんでしょ?」

「・・・・・・」


見抜かれた。

悔しいがまさに図星だった。

だが相手がなので当然といえば当然である。(彼女はいつも私の嘘を見破ってくれる)

彼女とは随分長い付き合いだ。

一体、出会って何年たっただろうか。

こうして酒を飲んだのも一度や二度ではない。

思えば、彼女が一番私の近くにいるのかもしれない。



「心配でない、と言えば嘘になりますね」

「うん」

「私が彼をレプリカとして誕生させてしまったと言っても、過言ではありませんし」

「うん」

「『謝ったからといって、その罪が消えるわけではない』・・・・・・まったくです。
私はルーク以上に罪深い」

「・・・・・・うん」



ネビリム先生のことも、レプリカのことも、
ディスト―――サフィールのやっていることもすべて私が原因だ。

大勢の無関係な人々を巻き込み、陛下に心労を与え、を悲しませたことが心苦しい。

そして私は、未だに人の死を理解できていない。



「でも、ジェイドは変わったわ。ルーク以上に変わったと、少なくとも私はそう思ってる」

「そうですか?」

「ええ。だって貴方、後悔できるようになったじゃない。
前よりも、本当の意味で後悔することができるようになったと思うわよ」



は柔らかく微笑む。

ああ、彼女はこんなにも私の欲しい言葉をくれる。

なんと、心地よい。



「・・・・・・何を照れているんですか」

「いや、今結構恥かしいことを言ったかなって」

「たまには、いいじゃないですか」

「うん、お酒が入ってるせいにしておく」



言ったとおり、随分と酒が回ってきたらしく、彼女の顔がほんのり赤い。

素直に綺麗だと感じる。

とても惹かれる。



「うー、体が熱くなってきたかもしれない」

「もっと熱くして差し上げましょうか? 私が」

「変態が」



そう言いつつも、抱き上げた彼女からの抵抗はまったくなかった。

繰り返しの経験で、これが許可という意味だと理解している。



「今夜は手加減できないかもしれません」

「・・・・・・今更だわ、今までだって手加減してたのか怪しいわよ」

「手厳しいですねぇ」



出会ったころから変わらない、彼女の様子。

その不変とも思える彼女を、やはり心地よいと感じる。



「ジェイドだから許してんのよ」

「光栄です」



珍しく彼女からキスが贈られた。








「ねぇ、本当に35歳・・・・・・?」
「いくつに見えますか?」
「っていうか、既に人間じゃないと思う。・・・・・・今日仕事出来るのかしら?」
「はっはっは」



君の心地よさに安心を覚えるんだ



アブソープゲート1回目の後。
ルークはミュウと一緒に屋敷にいる辺りですね。
前半シリアスでしが変態大佐の呼び声が高いので、
後半頑張って変態出しましたが撃沈☆(色々と、とても痛い)
ちなみに場所は大佐の執務室奥の部屋です、多分。



(2006/02/26)