「後はだけだな!」

「え・・・・・・」



聞きたく無かった言葉がルークから発せられた。



「ええ、そうですわね。行ってらっしゃい」

「頑張って、! 楽しみに待ってるからね」

「応援してるからな」

「大丈夫よ、何とかなるものよ」



ルークの言葉に、仲間の皆が次々に声をかけてくる。

だがは行きたくなかった。

このままここで座っていたかった。



「思う存分戦ってきてください、」



ジェイドの言葉が一番嫌味に聞こえる。

明らかに自分を道連れにしようとしているんだわ、とは感じた。



「・・・・・・そんな、嫌よ私! 絶対陛下ってば私の服も用意していらっしゃるもの!」



目の前の上司の服装を見る。

ジェイドはたった今、闘技場の個人戦上級を優勝してきたばかりだった。

彼は武器や称号ばかりではなく、ピオニーから服のプレゼントを貰っていた。

ピオニーから服のプレゼント、それはあまり良い思い出を作ってはくれない。

できれば遠慮したいものであった。

今まで貰ったメイド服やゴスロリ系の服、ローレライ教団の女性響士服・・・・・・。

水着は黒のビキニ(パレオ付き)。

毎回ジェイドに身包み剥がされて――――――。

あう・・・・・・。

間抜けな声が出た。



「あ、そうね、負ければいいんだわ!」



今までの苦行のような体験を思い出していると名案が出てきた。

そうだ、優勝しなければいいのだ。

そうすれば武器は手に入らないが、恐ろしい思いをしなくて済む。



「負けたらマルクト軍の顔に泥を塗ることになりますよ?」

「うっ・・・・・・!」



は国を誇りに思っている。

その、国を守る軍隊―マルクト軍が敵国に負けるだなんてことは不名誉であった。

決してキムラスカを格下に見ているわけではない。

ただ、マルクト軍の顔に泥を塗るようなことはしたくなかった。



「・・・・・・服は着たくない、けれど泥を塗るのはもっと嫌・・・・・・!!」

「行ってらっしゃい」



にこやかに送り出すジェイドにハイキックでも入れるべきだろうかと、は本気で思った。





*





結局、は全試合を勝ち抜き、優勝した。



「『無いのかも』ってちょっとは期待してたのに・・・・・・」



係員にしっかりと服を手渡され、はがっくりと頭を垂れた。

綺麗に畳まれたそれを広げてみれば、黒のサテン生地で出来た、袖の無い服だった。

ジェイドが貰った服と似たような生地だ。

そして青い花の刺繍が胸のところと裾の辺りに施してあった。



「これまた、陛下のお好きそうな・・・・・・」



着てみると意外とまともだった。

今までと比べると、という意味でだが。



「片方、スリット入ってるけど」



たとえスリットが際どいとしても、今までの服に比べるとやはりマシだった。





*





表彰が終わり、皆のもとへが行くとそれぞれが話し出した。



「・・・・・・あー、陛下が好きそうだな、それ」

「やはりセクハラですわ!」

「・・・・・・うっ、やっぱり色気がある・・・・・・」

「すげー!」

「似合ってるわよ、」



最後の二人は何か違っていると思うが、最初の二人は当たっていると素直には思う。

アニスはそもそも何かが違う。

だが、一番反応があると思っていたジェイドが何も言わない。



「あのー、ジェイドさーん?」

「おい、どうしたんだジェイド? が心配してるぜ?」



恐る恐るジェイドに声をかけてみる。

は彼の無反応(の反動)が恐ろしかった。



「・・・・・・すみません、迂闊でした」

「何が?」

「服ですよ。陛下が選ぶ服です、露出が多いというのは当然だと考えるべきでした」



そんなに露出が多いだろうか。

出ているのは腕程度ではないだろうか。

は考える。

どう考えたってあの水着の方が多かった気がするのだ。



「着替えてきなさい。ええ、今すぐに」

「そんなに露出多くないでしょう? 平気よ」

「私が耐えられません」

「はぁ?!」



真面目な顔をしてジェイドが言った。

わけが分からない。



「貴女の脚線美を見ていいのは私だけなんですよ」



そのままの顔でジェイドがサラリと言う。

あまりに真面目な顔をしているので、はすぐには理解が出来なかった。

ゆっくり、ゆぅっくり、その言葉を理解していった。

『脚線美』、『私だけ』。



「・・・・・・こんっの、エロオヤジ!!!!」

「さ、行きますよ」



ごく当然かのようにはジェイドに手を引かれる。

彼はずんずんと仲間から離れ、闘技場のドアに手を掛ける。



「どこへ?! どこへよっ?! なんで外に出るのかなぁ?!」

「野暮な事は聞かないで下さい」

「(食われる・・・・・・っ?!?!)」

「少し、お仕置きも必要でしょうねぇ?」

「(ひぃぃぃー!!)」








ただ独り占めしたいだけであって、下心は無いんです、ええきっと



私の趣味全開なネタ、キーワードは『チャイナ服』(笑)
ベトナムのアオザイとかも憧れますね。
一回着てみたいですが、似合わな過ぎて絶望しそうですね、きっとv



(2006/03/10)