「お待たせしました」



 言いながら、カレーを盛り付けたお皿をカウンターの上に置く。

 出来立てのカレーのお皿は少し熱かった。



「ほぅ、のカレーですか」

「ええ。マスターさん風邪で寝込んじゃって・・・・・・」



 受け取りながらジェイドが言う。

 続けてスプーンも渡した。



「ありがとうございます」



 ジェイドに微笑みながら言われ、つられて自分もにっこりしてしまう。

 いただきますというジェイドの声に、はっとあることに気がついてしまった。



「あ、でも私が作ったんで、いつもとは少し違うかもしれません」



 そうだ、いつもはほとんどマスターさんが料理を作っている。

 いや、カレーばかりではない。

 マスターさんはまだ早いと言って、私はいつも接客しかさせてもらえない。

 けれども、お店が終わってからマスターさんに料理の練習を見てもらっている。

 だから一応、お店のメニューは一通り作れるようにはなった。



「いえいえ、美味しいですよ」

「本当ですか? よかったぁー」



 ほっ、と溜息をつく。

 練習した甲斐があったというものだ。



「ふむ、これなら・・・・・・」

「どうかなさいました?」

、暫くの間私の部隊についてきてくださいませんか?」

「はい?」



 よくわからなかった。

 ジェイドの部隊、ということは軍のことだろう。

 けれど、何故そう誘われたのかが分からなかった。



「えっと、どういうことでしょうか?」

「そのままですよ、私の為に料理してください」

「そ、そんなっ! 駄目です、私まだまだですからっ!」

「謙遜しないでください。十分美味しいですよ」



 きっと今、私の顔は真っ赤なのだろう。

 ジェイドにくすくす笑われてしまった。

 恥かしくって、手を頬に当てると火照っているのがよく分かった。



「あの、本当に無理です!」

「・・・・・・嫌、ですか?」



 急にジェイドの顔が真剣になって私を見詰める。

 さすが、女性のお客さんからきゃーきゃー言われるだけあると思った。

 紅い双眸に見詰められて、どきりとしてしまった。



「嫌じゃないですけど、・・・・・・でも・・・・・・」



 とたんにジェイドがにっこりする。



「それじゃあ一週間後、軍の本部まで来て下さい」

「え? 私まだいいって言ってな」

「いやー、助かりました。貴女が引き受けてくださらなかったらどうしようかと思いましたよ」



 言い切る前にジェイドに言葉を遮られ、何だか私が承諾したことになっている。

 困った。

 どうしよう。



「・・・・・・分かりましたよ。でも、お腹壊しても知りませんよ? 部隊全滅しちゃいますかも」

「平気ですよ、の愛がありますから」

「あ、愛、ですか?」

「おや、お客さんが来ましたよ?」

「あっ、はい! いらっしゃいませ!」



 どういうつもりで言ったのだろうと聞きたかったけれど、タイミング良く(いや、悪いか)お客さんが来てしまった。

 お店の奥へ行って、接客の子を呼びに行かなくてはならなくなってしまった。



「あの、大佐さん。詳しい話は明日お願いできますか?」

「明日ですね、わかりました。なら夕食にでも行きましょうか」

「夕食ですか?」

「ええ。私がお店を予約しておきます。奢りますよ」

「わぁ、ありがとうございます!」

「いえいえ。それでは明日」

「はい!」



 会計を済ませてジェイドが出て行く。

 そしてふと思う。

 ・・・・・・なんで私、結局ついていくことになっているんだろう?








愛してるといったら、貴女は驚くだろうか?



アンケート2位の設定
『旅仲間(一般人)』



時間軸的にはゲーム開始前でしょうか。
大佐がセクハラしてません(笑)
ですが、後編でセクハラする予定です。
どうか、後編までお付き合いください。


一応、ヒロインさんの設定なんかを。
グランコクマにある、ジェイド行きつけのお店の娘さん。
マスターの養子で、お店の後継ぎを目指している。
酔っ払いやゴロツキに対応する為に多少、武術の心得がある。



(2006/03/14)