「うひゃあっ?!」



 宿屋の廊下を歩いていると突然、後ろ、と言うよりも斜め上から腕が伸びてきて、あっという間に私を捕らえてしまった。



「大佐さん!」


「どうかしましたか? 歩き方に元気がありませんよ?」



 首だけ動かして斜め上に振り返ると薄い笑顔のジェイドがいた。

 『歩き方に元気がない』――――――考え事をしていたのを見抜かれたのだろう。



「言わなきゃ駄目ですか?」


「ええ、もちろん」



 どうせ逃げられないのだと、私の胸の辺りで交差されたジェイドの腕を見ながら思った。

 言うしかない。

 そう思うと自然に溜息が出た。



「私、役に立っているんでしょうか? 邪魔じゃありませんか?」


「どうしてそんなことを思うんです?」



 ジェイドの顔から笑顔が消えた。

 その無表情を見るのが怖くて俯いた。

 もしも、肯定されたら――――――?

 いらないと、面と向かって言われたら――――――?

 とにかく怖かった。



「私は民間人です。どうしたって皆さんの足手纏いにしかなりません。

 確かに私は第七音素を扱えるかもしれません。

 でも、同じ第七音素譜術士のティアさんやナタリアさんには敵いません・・・・・・」
 

「それで?」


「皆さんはちゃんと目的があって、理由があって、でも私には無いんです!

 私は、私はここにいてもいいんですか・・・・・・っ?!」



 下を向いたまますべて言ってしまうと後悔した。

 きっとグランコクマに帰される。

 言わなければもう少し、皆と一緒にいられたかもしれないのに。

 そこまで考えたところで、なんて嫌な女なのだろうと自己嫌悪した。



「そんなネガティブなことを考えていると、こうしちゃいますよ?」


「きゃっ!」



 急に体が解放されたかと思うと、ぐるりと体を彼の方へ向けられた。

 するとそのまま間髪入れずにジェイドが私にキスをした。

 びっくりして私が何もできないでいると、ジェイドに無理矢理口をこじ開けられ、舌が口内に侵入してきた。



「・・・・・・ん・・・っ・・・・・・」



 好き勝手にジェイドの舌は私の口内を荒らしまくった。

 息が出来なくて、苦しくて、ジェイドを押しやったが、力で彼に敵うはずもなく、無駄な行為に終わった。



「・・・はあっ・・・・・・、はっ・・・・・・」


「やりすぎましたか」


「・・・・・・た、大佐さん・・・・・・」



 やっとのことで解放されたが、酸欠で頭が回らない。

 ジェイドはニヤリとしていた。



「まったく、貴女も馬鹿なことを考えますねぇ」


「・・・・・・馬鹿・・・・・・?」


「ええ、馬鹿です」



 馬鹿、であると。



「ヒドっ!」


。貴女、私が話した事を忘れているでしょう?」


「え?」



 何を言われたのだったかと思考してみる。

 だが、ジェイドには失礼だが、彼に言われた事と言えば、セクハラな発言しか思い出せない。



「失礼な人ですねぇ」


「・・・・・・」


「私の傍にいてくださいと、言ったでしょう?」


「・・・・・・いつ、でしょうか?」


「いつもですよ」



 そう言って満足げに言うジェイドは、もう一度私を腕で閉じ込めた。








逃がしはしませんよ?


アンケート2位の設定
『旅仲間(一般人)』


悩みに悩んでこんな感じに。
これ、旅仲間と言っていい、ぎりぎりのラインでしょうね。
オンザラインですよね、審判の皆様?!
セーフっすよね?



(2006/02/16)