「この陰険ロン毛変態眼鏡が」


「随分な言われようですねぇ」


「そりゃ言うわよ。あんなに大人数を差し向けるなっての」


「それは失礼しました」



 マルコとフリングス少将に捕まって連れて来られたのはなぜか軍の研究室だった。

 逃亡防止なのか、わざわざ手枷と足枷が付けられた。

 そして、目の前にいる陰険ロン毛変態眼鏡こと、死霊使いジェイド・カーティス大佐は白衣を着ていた。

 ・・・・・・嫌な予感がしまくっている。



「・・・・・・ジェイド。それ、何?」


「これですか?」



 見やすいようにという配慮のつもりだろうか、彼は手に持っていたフラスコを私の目の前に持ち上げてくれた。

 ・・・・・・なんだか濁った、紫色なのか赤色なのか、判別のつかない液体が入っている。

 随分とドロドロとしていそうな・・・・・・とにかく、飲み物であっては欲しくない。



「薬です」


「ぬ、塗り薬?」


「いえ、飲み薬です」


「・・・・・・」



・・・・・・飲み薬?

 いやいやいやいやいやいやいや、ちょっと待ってくれ。

 明らかにこれは人間が飲むものではないだろうに!

 死ぬって、死ぬよこれ!

 こんな色した飲み薬飲んだら絶対死ぬって!!

 いくら薬は苦いものだとは言え、これはもう苦いとかそんなレベルのものじゃないよ、きっと。

 むしろ、苦いですんだら奇跡でしかない。



「・・・・・・ところで、カーティスさん。一体私はなんでここに呼ばれたのかなぁ?」


「嫌ですねぇ、。そんなもの、決まっているじゃないですか」


「・・・・・・わかんなーい」


「・・・・・・そうですか。それならそれでいいですが」



 無駄な足掻きだった。

 自分でも鳥肌モンのぶりっ子すらコイツには通用しない。

 うん、知ってたよ、ジェイドがそういう奴だって。

 でもね、ちょっとは信じてたんだよ?

 常人の百分の一くらいは良心が存在するんじゃないかってさ!(無駄だったけど!)



「ごめんなさい、もうしません」


「なら、これを飲んでください」


「・・・・・・なんで?」


「実験台ですよ」


「飲んだらどうなるの?」


「成功なら五歳ほど歳をとります」


「成功したら、ですって?」



 失敗したらどうなるのよ?!

 しかしそれを聞くのもとても怖い。

 けれども、どうして突然、歳を増やさなければならないのだろうか。



だから二十五歳で済みますねぇ」


「・・・・・・軍で一番私が若いから、私で試すのね」


「おや、気がつきましたか? まぁ、貴女が私の副官でもありますし」



 ・・・・・・そりゃマルコでは駄目なわけだ。



「っていうかなんで老け薬? 若返りじゃないの?」


「色々と事情がありまして」


「何したの? もしかして、陛下に関係あるの?!」



 わざわざ私の捕獲に陛下護衛部隊が出てくるのだ、陛下に関係があるとしか思えない。

 陛下護衛部隊が軍人一人を捕獲するのに大人数を駆りだすだなんて前代未聞だ。



「ちょっと、面倒なことになったんです」


「やっぱり関係あるのね・・・・・・」


「私が調合した薬を、陛下が誤って飲んでしまったんですよ」


「はぁ?!」


「・・・・・・どう考えても陛下の自業自得でしかないんですが、飲んでしまったものは仕方が無い。
 幸い、健康を害するものでは無かったものの、その薬が・・・・・・」


「若返りの薬だったってわけね」


「ええ、その通りです」



 陛下、どんな誤り方なさったんですか!

 しかし、一応主君である人間にそんな恐れ多いことを言ってしまうわけにはいかない。

 まあきっとジェイドが陛下にそれは言っただろうし。

 むしろ、なぜ若返りの薬など作っていたのかの方が気になるのだが。



「陛下が五歳若返っても精々、三十歳くらいでしょうに。そんなに困るの?」


「困りますよ。二十歳若返られたんです」


「え、だってこの薬は五歳、歳とるんでしょう? 足りないじゃないの」


でデータを取った後、濃度を上げますから」


「そうなんだ・・・・・・。今の陛下、少年時代?」


「そんな感じですねぇ」



 見たい。

 物凄く見たい。

 ・・・・・・っていうか、手枷足枷が付いている状況にだんだん慣れてきた。

 慣れって恐ろしい。



「さ、そろそろ飲んでください」


「うげっ」


「陛下が子供のままでは困りますからね」


「私が二十五歳になるのはどうするの?」


「すぐに戻して差し上げますよ」


「本当?」


「明日くらいには」


「・・・・・・」



 もう、なんで明日とか思わなかった。

 このパターンはもう嫌ってほど体験している。

 ・・・・・・二十五歳、女としてなかなかいい年齢だ。



「・・・・・・仕方ない。陛下と国の為だからね! ジェイドの為じゃないからね!」


「はいはい。さあどうぞ」



 いつの間にかにグラスに移し変えられた薬を受け取り、一気に飲み干す。

 ・・・・・・喉が焼けるように痛い。

 薬が体中を駆け抜けるのを感じた。






 くそぅ、やっぱり飲むんじゃなかったと思ったのはこの時以上に、翌日の朝だったというのはまた別の話、多分。








 「俺はもうちょっとガキの頃の姿でもよかったんだがな」

 「陛下、私が(実験台にされるから)良くないんですよ! 」

 「どうした? 随分疲れてるな」

 「・・・・・・分かってるくせに言わないで下さい。っていうか、怪しいものは飲まないで下さいよ!!」

 「そうですよ、陛下」

 「もともとはアンタのせいでしょ、ジェイド!」

 「これは失礼」

 「・・・・・・絶対、反省してないわね」




 やっぱりこうなるのね


 アンケート1位の設定
 『マルクト軍人』


 あれー?
 旅仲間以前な話になってしまった・・・・・・。
 良く考えたらマルコはゲーム中に亡くなったんですものねぇ。
 うわっ、どうしよ。
 どうしても仲間な軍人ヒロイン夢が見たいわって方、いらっしゃいましたら拍手で遠慮なく言ってやってくださいませ(笑)



(2006/03/23)