「まったく……。どこに行ったんだか」



 右を見ても左を見ても誰もいない。

 ましては、探している人物―――ジェイドはいるわけもなかった。

 毎度毎度こうだと、探し出す身にもなって欲しい。

 もう一時間は探してる。

 いい加減疲れたし、今日は夜間の宮殿の警護がある。

 ……仮眠をとりたい。



「寝てやる」



 そう呟いて、ジェイドの執務室の奥にある、仮眠室への扉のドアノブに手を掛けた。(もちろん勝手に、だ)

 そして異変に気がついた。

 部屋の中に誰かいる。

 きっとジェイドだろう。

 人が散々探したのに、こんなところにいやがるとは!



「むかつく。すっげーむかつく」



 溜った一時間分のイライラが私を襲う。

 発散するにはそれ以上の何かが―――嫌がらせが必要だ。

 他人の安眠は妨害するために存在するのだ。



「―――えいやっ!」



 勢い良く、全体重と恨みをかけて、ベットにダイブした。

 さすがのジェイドもこれはキツイだろう。



「だーれだ?」



 布団の下から声がした。

 ・・・・・・は? ジェイドじゃない?

 っていうか、だ、抱き締められてる?!



「だ、誰よっ?!」



 布団の上からとは言え、誰かわからない人に抱き締められてるのは怖い。

 思い切り腕を突っ張ったりして、出きる限り最大限の抵抗をしてみる。



「おいおい、そんなに暴れんなよ。埃たつだろ?」


「って、陛下ぁ?!」



 言うべきことは沢山あった。

 だがその前に彼によってその余裕は奪われた。

 腕を掴まれたかと思った途端、そのまま布団に引き込まれたのだ。



「うーん、やっぱは抱き心地がいいな。暖かい〜」


「ちょ、それセクハラですって! 私は湯たんぽじゃないんです!!」


「いや、君主と臣下のスキンシップだろ」


「スキンシップにしては度が過ぎません? っていうか離して下さい〜!」



 それでもピオニーの腕の力が緩む気配はいっこうにない。

 どうしたものかと思案するも良い案は見つからない。



「こんなところで何してたんですか」


「昼寝してた」


「もしかしてジェイドは陛下を探しているんじゃありませんか?」


「ああ、あいつから隠れてた。灯台元暗しだな」



 やっぱり。

 ジェイドが陛下を探しているのならすることは一つだった。



「お休みなさーい」


「おう、寝ろ寝ろ」



 どうせジェイドは陛下を探している、

 なら自分はここにいるだけで陛下を探しに来たジェイドを見つけられるではないか。

 しかも昼寝までできてしまう。

 我ながらなんて良い考えなんだろう。

 そんなことを考えながら目を閉じた。








 起爆スイッチを自ら進んで踏んだ瞬間



 うっかり陛下夢で終わってしまいそうですが、違います。
 ええ、断じて違いますとも、多分(どっちだよ)



(2006/04/3)