「もうちょっとだけ、一緒に居たいと思うのは我侭かしら?」
 
 
 
雪が掌に載って、溶けてゆく。
 
ケテルブルクの白い景色は美しい。
 
夜になると一層その美しさは増す。
 
だからきっと、こんなにも私はセンチメンタルになっているのだ。
 
普段なら、こんなことは考えない。
 
いや、思考から遠ざけて、考えるのを逃げているのだ。
 
 
 
「・・・・・・今だけなのよ、こんな感情」
 
 
 
空から舞い落ちる白色が、私に触れることなく地面へと落ちる。
 
一つ、また一つと重なって、景色に混ざっていく。
 
彼らとの旅の想い出もまた、こんな風に小さな出来事が重なって増えたのだ。
 
そして、私の記憶に混ざったのだ。
 
けれども、その記憶すらも、やがては――――――。
 
 
 
「どうせ、消えてしまうんだもの」
 
 
 
私は私じゃなくなって、私には彼は残らない。
 
想いなど、掌に載った雪よりも容易く消えてしまうだろう。
 
消滅、それは確実に私に近付いてきている。
 
そのことがはっきりと自覚出来る。
 
だからこそ、残された今、余計に願ってしまうのだ。
 
 
 
「・・・・・・もっと、『私』でいたいのに」
 
 
 
手を下ろす。
 
腕が疲れた。
 
これ以上、上げていられない。
 
そろそろホテルへ引き上げるべきだろう。
 
 
 
「・・・・・・好きよ、ジェイド」
 
 
 
呟いた言葉は、夜の闇に吸い込まれて消えて逝った。
 
 
 
 
 
 

 
愚かだと、気が付いているけれど
 
 
 
そして私は名前変換が無いことに、たった今気が付きました(笑)
名前変換無くて、相手が出てこないこの話は夢小説として良いものか・・・・・・。

 
 
 
(2006/04/30)