「うおぅっ!」
色気の欠片も無いような、むしろ女らしさすら皆無とも言えるような声がから出た。
(大いなる地面と、母なる外殻大地と熱い抱擁だなんて嫌だ!)
(ここはロニール雪山だけど冷たいから嫌ー!)
『転ぶ→痛い』という公式にもはやはパニックだった。
だからとっさに目の前にあった青色を掴んでしまうのは本能なので仕方がない。
「雪山で大声を出すだなんて関心しませんねぇ」
「た、助かった……」
「人の話は聞きましょうね?」
「はい、すみません」
(ふむ、どうしてやりましょうかねぇ)
少し考えて、ジェイドはにやりと薄笑いをした。
不自然な様子を察知したは「あのー、大佐ー?」などと声をかけてはみたが、とりあってくれる様子はまったくない。
ジェイドは無言のまま、掴まれたのとは反対の手―――つまり右手で、まだ彼の左腕を掴んでいたの右手を取り、指を絡めて左手と繋いだ。
「わっ!!」
そのままごく自然、さも当然といったようにするりとポケットにつっこんでしまった。
「転ばないでくださいね」
ジェイドは満足げに、今度はにんまりと笑った。
愛の力で転倒防止
それでも彼女は転んで、ジェイドに姫だっこしてもらえばいい。
(06/06/29)