「・・・・・・何か来る・・・・・・?」
妙な寒気を感じた。
魔物が発する殺気に似ている。
・・・・・・間違いではないだろう。
全身で、どこかにいるはずの気配を探る。
数は?場所は?
「どうしました?大尉」
「・・・・・・かなり多いわ。―――誰か、上空を良く調べて!何かがいるはずよ、それも集団で!」
「はっ!!」
嫌な予感がする。
上空で何かの集団が蠢いている気配がするのだ。
そしてそれらは、どんどんこちらへ近付いているようにしか思えない。
ジェイドに連絡する?
そろそろルークとの今後についての会話も終わっただろう。
「大尉!前方25キロ地点上空に、何かの大集団を発見しました!」
「対象の識別を早く!」
「・・・・・・グリフィンです!何かを乗せています!」
「・・・・・・貸しなさいっ!」
大型スコープを代わってもらい、急いで対象を観察する。
数え切れないほどのグリフィンがこちらへ向かってくる。
そして彼らは何かを乗せていた。
・・・・・・これは、ライガ?
チーグルの森で大発生していたライガだ。
それにライガとグリフィンが一緒にいるなどありえない。
・・・・・・何者かが操っているのでは?
そして魔物を操れる少女が六神将にいたはず―――そう、妖獣のアリエッタだ。
そう考えると、これはかなり危険かもしれない。
「船長!カーティス大佐に連絡、いえ、警報を鳴らすのを優先してください!」
「了解しました!」
「艦は一時停止!迎撃の準備を行って!砲撃許可は後から後から得ます!!」
とたんにブリッジが騒がしくなる。
数が数だ。
一体二体の数ではなく、大集団。
すぐに警報が鳴り響いた。
『船橋!どうした?』
警報から数秒遅れてジェイドから通信が入る。
「前方20キロ地点上空にグリフィンの大集団です!総数は不明!約十分後に接触します!師団長、主砲一斉砲撃の許可を願います」
『艦長は君だ。艦のことは一任する』
「了解!前方20キロに魔物の大群を確認。総員第一戦闘配備につけ!繰り返す!総員第一戦闘配備につけ!」
周りが本格的に砲撃準備を開始する。
私も配備につかなくてはならない。
けれどもその前にジェイドに連絡しておきたかった。
「ジェイド、聞こえる?」
『聞こえますよ、』
「私は第一線で指揮をとるわ。貴方はイオン様とルークをお願い!」
彼らがいなくては平和は望めない。
『体の調子は?まだ本調子ではないでしょう!?』
「平気よ、じゃあね!」
『ちょっと、待ち』
無理矢理、船長と通信を代わる。
会話を強制終了させてしまったので、きっとジェイドを怒らせただろう。
でもぐずぐずしている暇はない。
ジェイドには彼らを守ってほしい、ただそれだけ伝えれば十分だ。
体は・・・・・・少し頭が痛いがまったく平気だ。
「大尉!グリフィンとライガが降下体制に入りました!」
「わかりました、甲板に出ます!!」
腰に黒いナイフが二本とも存在することを確認する。
この二本と共に、四年間、最前線の戦場を駆け抜けた。
早く功績を上げて、ジェイドの隣に並ぶために。
多くの人間、魔物を殺して、その骸を積み上げた。
相手一人一人、一体一体に罪も恨みもない。
けれども、私は軍人で相手は私を殺す気で向かってくる。
だから、私も殺す。
到底許されることではないけれど、私はそうやって生きてきた。
だからこれからもそうやって生きていくつもりでいる。
ジェイドの隣にいるには、そうやって生きていくしかない。
「みんなを守ってね、ジェイド」
私は守ってもらうような女ではないのだから、みんなを。
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